ADSLとは?いつまで使える?特徴や廃止・終了時期について解説

インターネットに接続する方法には、WiMAXと光回線がありますが「ADSL」という方法もあります。

若い人だと「ADSL」という言葉は聞き慣れていない方も多いのではないでしょうか。
私もこのブログを立ち上げてから初めて知りました。

そこで、今回はADSLについて徹底解説していきます。

ADSLとは

ADSLは以前まではインターネット接続の代名詞のようなものでしたが、現在ではサービス終了時期が迫っていることから、どこの事業者も新規申し込みは受け付けていません。

ここでは現在契約しているADSLはいつまで利用できるのかなどを解説していきます。
また、おすすめの乗り換え先についても紹介していきます。

ADSLの仕組みについて

ADSLとはAsymmetric Digital Subscriber Lineのことで、従来のアナログ電話回線を使ってインターネット接続する通信方法です。

固定電話が主流だった2000年代前半にADSLは急速に普及しました。
現在主流の光回線よりも比較的安い月額費用で契約できることも魅力の一つでした。

ADSLを使ってインターネットを利用するには、電話回線の周波数を音声用とデータ通信用に分けるための「スプリッタ」と呼ばれる装置と電話回線での信号をインターネット用の信号に変換する装置「ADSLモデム」が必要になります。
なお、この2つの装置はADSL事業者から提供されます。

ADSLと似たISDNとは

ADSLと同様に電話回線を使ってインターネット接続を行うISDNについても見ていきましょう。

ズバリ、ADSLとISDNの違いは使う電話回線の種類になります。
ADSLはアナログ電話回線を使うのに対し、ISDNはデジタル電話回線を使ってインターネット接続を行います。
ですから、名前にもISDN(Integrated Services Digital Network)とデジタル回線が入っているのです。

また、ADSLは電話番号1つに対し回線も1つしか使えませんが、ISDNは1つの電話番号で2つの回線まで使えます。
けれども、通信速度としてはISDNの方がはるかに劣っていて、ADSLが最大50Mbps(現在のポケットWi-Fiくらい)の通信速度に対し、ISDNは最大でも64Kbps(速度制限がかかった状態くらい)の通信速度しか出ません。

ISDNもADSLと同じく2024年1月にサービス終了することがNTTから発表されています。
現在使われている方は早めに他のインターネット回線への乗り換えがおすすめです。

集合住宅向けのVDSLとは

VDSLとは、Very high-speed digital subscriber line(超高速デジタル加入者線)のことでADSLと同じ電話回線を使って高速なインターネット通信を行うものになります。
マンションなど集合住宅向けのサービスで、建物自体の共用部まで光ファイバーを引き込み、その光ファイバーから各部屋にある固定電話回線を通じてインターネット回線を届ける方法です。
建物まで光ファイバーを通すことにより、すべての通信を電話回線で行うADSLより速いインターネット通信ができるのがVDSLの強みになります。

その速度は、ADSLでは最大速度50Mbpsほどですが、VDSLでは最大100Mbpsほどまで速度が出ることが分かっています。
しかし、VDSLは送受信するデータがノイズの影響を受けやすいため、一時的に繋がりにくくなるといったデメリットもあります。

ADSLと光回線の違いとは

ADSLのことが少しずつ分かってきたところで、現在インターネット接続の主流になっている光回線との違いについて見ていきましょう。
なんとなく光回線の方が速いのだろうという方も多いとは思いますが、具体的にどれだけの差があるのでしょうか。
また、どんな人に向いているかについても詳しく解説していきます。

通信速度の違い

ADSLと光回線を比較すると、最も分かりやすく違うことは通信速度です。
データ上ではありますが数値を見てみると、ADSLの最大速度は下り50.5Mbps、上り12.5Mbpsに対し、光回線は下り上りとも1Gbpsとされています。

Mbpsとは1秒間に送ることができるデータ量を表している単位で、1Mbpsだと1秒間に日本語を約6万5千文字送ることが可能な速度です。1,024 Mbps=1Gbpsとなっています。

Mbpsなど通信速度のことについては以下の記事をご参考ください。

快適にインターネットが使える通信速度とは?測定方法や遅い原因を解説

安定性の違い

インターネットに接続するための回線にはそれぞれ通信の安定性の差があります。

ADSLは、基地局からの距離があるため通信速度が外部からのノイズの影響を受けやすい回線です。
特に、距離が長くなると高周波帯域の通信が繋がりにくくなる傾向にあります。
具体的には、基地局からの距離が2.5kmを超えると大幅に通信が遅くなるとも言われ、途切れるなどの障害も起きやすくなります。

それに対し、光回線は光信号の特性を活かした伝送方式になっているため、外部ノイズの影響をほとんど受けずに安定した通信状態を保つことができます。
さらに、光信号による通信は伝送途中のデータ損失が起きにくく、長距離であっても安心してデータを送れます。
また、光回線でも「IPv6」という接続方式を使えば、より安定した通信と速度が向上することがあります。

「IPv6」については以下の記事に詳しくあるのでご参考ください。

PPPoE方式とIPoE方式とは?それぞれについて分かりやすく解説

ADSLのサービス終了について

NTT東日本・西日本はADSLのサービスを2023年1月31日をもってサービスを終了する子を2017年11月に発表しました。

終了することになった理由は以下のようなことが挙げられます。

サービス終了の理由
  • 光回線に移行する人が増え、ADSLの利用者が少なくなったこと
  • ADSL設備の部品が入手困難になったこと

NTTは現在ADSLを使用している人に光回線へ移行することを推奨しています。

では、NTT以外のADSLはどうなのでしょうか。
この辺りの疑問について解説していきます。

大手ADSLも続々とサービス終了

NTT以外の大手ADSL提供会社も続々とサービスを終了を発表しています。

主なADSLサービスの終了時期は以下のようになります。

終了時期 新規受付
Yahoo! BB ADSL 2024年3月末 2016年6月30日終了
フレッツ・ADSL 2023年1月末 2019年2月28日終了

上記のように大手のADSLサービスが終了していっています。
Yahoo! BB ADSL に関しては2020年3月以降、一部地域からサービスの順次終了が公式発表されています。

ADSLのサービスが終了後も自宅でインターネットを使いたい方は、他のインターネット回線に乗り換えましょう。
乗り換え先としては「光回線」「ポケットWi-Fi」「ホームルーター」の3つが主になると思います。
それぞれについて詳しく見ていきましょう。

光回線とは

光回線は光ファイバーケーブルを通してインターネット通信を行うものです。

その特徴はなんといっても通信速度の速さです。
現在の光回線の通信速度は下り最大1Gbpsになっており高速で安定したインターネット通信ができる環境をを自宅で実現することができます。
また、利用できる通信量が制限されていないことも大きな強みになっています。

しかし、光回線を利用するには既にマンション設備で整っている場合を除いては、光回線工事を行わないといけません。
一般的に光回線契約から工事までの期間は2週間〜1ヶ月になっていますが、回線自体の大規模改修の時期などと被った場合は2〜3ヶ月待たされることもあります。
光回線を申し込む際は早めの行動をおすすめします。

 

ポケットWi-Fiとは

ポケットWi-Fiは持ち運び可能なコンパクトなWi-Fiルーターを使ってインターネット通信を行います。

最大の強みはそのポケットに入るようなコンパクトサイズから外出時でも場所を問わずWi-Fiを利用できることです。
バッテリーは充電式なので長時間利用でない限りはコンセントも気にする必要がありません。
そのため、旅先でPCを使いたいときやスマホのキャリア通信が制限がかかっているときに役立ちます。

しかし、ポケットWi-Fiは通信利用量が決まっていることが多く、その通信可能枠は月単位で決められていたり、一日単位で決められていたりとプランごとに異なります。
インターネット利用量が多い在宅ワーカーだとすぐに制限がかかってしまうので契約の際はよく検討することをおすすめします。

 

ホームルーターとは

ホームルーターは工事不要の電源ケーブルをコンセントに挿すだけで使えるルーターでインターネット通信を行います。

最大の特徴は店頭で契約するとその日から自宅をWi-Fi環境にできる強みがあります。
即日でインターネット環境にしたい人には最適です。

しかし、ホームルーターは光回線を通してあるルーターと比べると同じ据え置き型でも、通信の安定性に劣ります。
環境によっては通信速度が著しく低下することも多く、動画視聴時などでストレスを感じるかもしれません。

また、コンセントがないと使えないため持ち運びには不向きです。


まとめ

今回はADSLを使ったインターネット通信について解説しました。

ADSLはサービス終了が決まっているため現在利用されている方は早めに他の回線に切り替えることをおすすめします。

インターネット回線には「光回線」、「ポケットWi-Fi」、「ホームルーター」など様々なタイプがあります。
ご自身にあったものを選んで快適なインターネット生活を楽みましょう。

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