「AR」と「VR」の特徴や違いを分かりやすく解説

最近「VR」や「AR」などのキーワードをよく耳にするようになりました。

ここ数年で市場に出てきたキーワードで、その違いについてイマイチよく分かっていない人も多いのではないでしょうか。

仮想現実は急速に進むデジタル化により多くの企業がその市場に参入しつつあります。
ゆくゆくは私たちの生活の一部になる日も近いでしょう。

今回は話題の最先端技術「AR」「VR」の違いや特徴について詳しく解説していきます。

ARとは

ARは英語で「Augmented Reality(アグメンティッド・リアリティ)」の略、つまり「拡張現実」という意味になります。

これはスマートフォンなどのカメラで映した現実世界に、リアルではない物やキャラクター、お店の情報などのコンテンツを表示することで、あたかもそこに存在するかのように現実を拡張できるというものです。

例をあげると社会現象にもなった「ポケモンGO」などはまさに、ARになります。
また女性を中心に大人気のカメラアプリ「SNOW」ではカメラで撮影した写真や動画に拡張現実によって装飾をつけたり、画像加工することができます。

ARの特徴

ARの特徴は、何もないゼロの状態から作り上げるのではなく、今見えている現実世界の情報にコンピュータ上で作り上げられたものを映し出して、現実を「拡張」します。

スマートフォンなどののカメラからの映像にCGの映像を重ねて表示させることで、実際には存在していないものをそこに存在しているかのように映し出すことができます。

例をあげると、スマートフォン越しに空を見るとGPS機能を使って位置情報などを測り、そこの地点から見える星座表を映し出したり、ARデータが組み込まれた紙などにカメラをかざすと情報が浮き上がってくるなど、スマートフォンだけでAR世界観を体験することができます。

当初AR技術はPCだけで使われているものだったのですが、ここ数年でスペックが向上したことでスマートフォンにも搭載されました。スマートフォン対応になったことで一気にARを楽しむ人が増えました。
最近ではゲームだけでなく、位置情報をつけてマップアシストなどさまざまな用途で活用でされています。

ARの種類

これは最近まで私も知らなかったのですがARには種類がいくつかあります。
今回は主要な3種類についてご紹介していきます。

ロケーションベースAR

ロケーションベースARとは、GPSで取得される位置情報に基づいてARを表示させるものです。

またGPSなどの位置情報だけでなく、磁気センサから自分が向いている方向加速度センサを使った見ている視線の角度の情報を併せて、ARを表示する場所を決めています。

ロケーションベースARのメリットは、位置情報の方向や視線の角度などの情報の送受信が現在使えるデバイスなどで簡単に扱えるため、ARを使ったものを作る際に実現がしやすいことになります。

反対にデメリットとしては、GPSにどうしても頼ってしまっていることが現状で微妙なズレや誤差が生じてしまうことです。

しかし、技術は発展し続けているのでそういったデメリットが改善される動きもあります。
話題の準天頂衛星システムやWi-Fiを使ったロケーションシステムなどの技術が、日常に浸透すればGPSによって生じていた誤差の解消も進むはずなので期待して待ちましょう。

マーカー型ビジョンベースAR

マーカー型ビジョンベースARとは、AR技術が誕生した初期の頃からあるものでARの代名詞ともいえるでしょう。

紙媒体にあるQRコードを利用してWebサイトにアクセスしたり、LINEのQRコードで友達追加するのもここに分類されるのです。

最近ではスマートフォンのカメラでQRコードを読み取るとそこに立体的な画像が出てきたり、マーカーを読み取ると映像が流れたりするもので、多くの企業のプロモーションや商品の紹介に採用されています。

マーカー型のメリットとしては、表示したいARを表示したい場所へ正確に表示させることができることや、開発側も技術が公開されていて比較的に制作しやすいことです。

反対にデメリットは紙媒体などリアルなものにマーカーを印刷するなどの準備が必要なことです。
何らかの形でマーカーを置かなければいけないので、スペースの問題や見た目などの問題でどこでも置くことができない点が挙げられます。

マーカーレス型ビジョンベースAR

先ほどのマーカー型と対照的に、特定のマーカーを準備することなく現実の世界にある物や、空間ごと認識させることで場所に捉われることなくARを表示させることが可能になります。

マーカーレス型のメリットとしては、マーカーやQRコードを特別に用意することないのでARを出現させたい場所に表示させることができることです。

反対にデメリットとしては空間や物体を認識するにはどうしても情報量が多くなるので、使うハードウェアの容量やスペックが求められることと、開発側は専門的な知識が必要になってくることが挙げられます。

ARアプリおすすめ5選

ARについて詳しく分からない人でも、知らないうちにARを使ったアプリを使っていたり、知っているものもあるかと思います。

ここではARが使われているアプリについてご紹介します。

ポケモンGO

社会現象にもなった「ポケモンGO」は今でも世界中で大人気のゲームアプリです。

アプリの使い方は知っている方も多いとは思いますが、アプリを起動した状態で外を歩くとGPS情報によって作り上げられたポケモンがスマートフォンの画面上に出現するものになります。

そこにしか出現しないポケモンがいたりするので、特定の場所に人が集まったりと一時期はニュースで報道されるほど利用者の多いアプリです。


引用元:https://www.pokemongo.jp/

Ingress Prime

先にご紹介したポケモンGOと同じ会社であるNiantic社が開発した「Ingress Prime」はGPS機能を利用した陣取り合戦ゲームアプリです。

使い方はアプリを起動したら、ユーザーが2つの勢力の内どちらかのエージェントになり、現実世界を実際に歩きながら陣地をかけて競い合います。

ポケモンGOに引けを取らないくらい、世界中で多く利用されているARゲームアプリです。

著者
個人的にSFチックな世界感がたまらなく好きです!
プロモーション動画も超カッコイイので、ぜひご視聴ください!

引用元:https://ingress.com/ja/

ドラゴンクエストウォーク

ドラゴンクエストウォーク」は東京五輪の入場曲にも使われたあの国民的人気ゲーム「ドラクエ」のARを使ったアプリゲームになります。

2019年9月に配信がスタートして以来、今でも根強いファン層からの支持を集めています。

使い方は、まず目的地を設定するとクエストが始まります。
GPSを利用したマップ上にモンスターが現れるので、タップすると戦闘開始。
戦闘に勝利すると経験値が得られ、さらにアイテムがゲットできることもあります。

主人公を徐々にレベルアップさせ成長が楽しめるアプリゲームです。

引用元:https://www.dragonquest.jp/walk/

QHOME

QHOME」はマイホーム購入時などに利用されるCGによる完成後の住宅内を歩くことができるアプリです。

また、マイホームの建設予定地ではAR技術を活用して、実際に出来上がったらどのように建つかを見ることができます。

この他にも建築業界ではARやCGを駆使した様々なアプリやサービスが増えてきています。
実際に内覧をせずともオンラインで見ることができたりと建築×ITの技術が期待されています。

 

引用元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000027294.html

SNOW

10代〜20代の女性を中心に瞬く間に広まり、今やカメラアプリの鉄板ともなった「SNOW」はARを使ったアプリです。

従来まではカメラで撮った写真を加工アプリで編集しなければなりませんでしたが、ARを使った「SNOW」では既に加工された状態をスマートフォンで見ながら撮影できます。

このことからより可愛く映える写真を取ることができたり、顔交換で友達と顔が入れ替わったりと写真を撮るという目的だけでなくカフェで女子会をしているだけで楽しめてしまうほどの体験型アプリであることが最大の強みだと言えます。

シーズンイベント限定での加工など常に加工のバリエーションも変化しているので利用者を飽きさせないことから若年層を中心に絶大な人気を誇っています。

SNOW スノー - Google Play のアプリ

引用元:https://play.google.com/store/apps/details?id=com.campmobile.snow&hl=ja&gl=US

VRとは

よくARと並べて語られられる技術にVRというものがあります。

VRは英語で「Virtual Reality(バーチャルリアリティ)」の略、つまり「仮想現実」という意味になります。

VRを体験するにはヘッドマウントディスプレイ(HMD)と言われるゴーグルのような機械を頭から被ります。

視界が完全にディスプレイで覆われることにより、まるでゲームや映画のような世界に迷い込んだかのような没入体験をすることができるのです。
そしてヘッドホンも連動させ装着すれば、視覚だけでなく聴覚までもがVRの世界に入るので、あたかもそこが現実かと錯覚すらしてしまうくらいリアルを追求できます。

このような体験はあくまで現実世界を拡張するARでは得られないものでしょう。

VRの特徴

VRの特徴としてはゴーグルを頭から装着して視界全体を覆います。さらにゴーグルにはセンサーがついているので、頭を傾けると見えているVRの世界も連動する仕組みになっています。

最近はプレステなどのテレビゲームを見てもリアリティが増しているように、CGの描写が繊細になっているのでVRを体験すると現実世界との区別がつかなくなってしまうほどの映像クオリティになっています。

これをさらに進化させたVRでは、映像の中で自由に歩けたり、ものを動かすことができます。

将来、VRの中で仕事をしたり現実世界では離れたところにいる友達や家族と過ごす日も近いかもしれません。

著者
僕が衝撃を受けたフェイスブック社が開発したVR世界HorizonのPR動画をぜひご覧ください!

引用元:https://uploadvr.com/facebook-horizon-social-vr-metaverse-oc6/

 

PCもケーブルもいらない単体型VRゲームシステムOculus Quest。ヘッドセット内蔵のセンサーが装着者の動きを正確にキャッチすると同時に、周囲の物にもぶつからないようにサポートします。両手にはめるコントローラーからゲーム内で受けた衝撃を感じ取ったりと、よりリアルなVR体験が可能に。

VRの種類

ARと同様にVRにも種類があります。

VRの種類は大きく分けて2つあり、「視聴型」と「参加型」になります。

「視聴型」は流れてくる3D映像を見るもので映画などより臨場感あふれる体験ができることでしょう。
また授業や講義を受けたり、医療の支援ができるので、より私たちの生活に密接に関わってくるものになってくることが期待されています。

対照的な「参加型」はVR映像の中を自由に歩き回れ、さらにその映像の世界のものに触れたり、動かしたりすることもできます。そのため、こちら主に不動産業で住宅販売の際に使われたり、観光事業にも使われたりしています。

VRの研究は前々からされていた!?

VRは最近出てきた技術として注目されていますが、どうやらそうではないらしく研究が開始されたのは1960年と今から60年以上も前のことだそうです。

VRという言葉が一般層にまで認知されたのは1990年代になるのですが、当時は今の原型となった立体的に描かれた2D映像でした。
そのため現在のVRのようなものとはかけ離れていると言っても過言ではないでしょう。

現在のような形で普及したのは、スマホを活用したVRが登場した2014年になります。
その後、2016年にゲーム機やPC用のVRマシンが次々に誕生したことでこの年は「VR元年」とも呼ばれているそうです。

仮想現実の仕組み

VRで仮想世界で自由に歩き回ったり、物を触れたりするのは一体どのような仕組みでそういった体験ができるのでしょうか。

ここからは仮想現実世界の仕組みについて詳しく解説していきます。

視差効果で立体的な映像を見ることができる

VRでは立体的に映像を見ることができますが、どのような仕組みになっているのでしょう。

これには人間の目の仕組みが深く関わっています。

人間の目には左右の目で見ている場所に視差があります。VRにはこの視差を活かしたシステムが搭載されており、映像は右目と左目で分かれており、それぞれの目で見た情報を脳が合成し認識させるためVRでは立体的な映像を見ることができるのです。

私たち人間の脳の仕組みまで考えられて作られているのですね。

コントローラーで物に触れる体験ができる

参加型のVRではコントローラーを使って、物を動かしたり触ったりできます。

また、より感度の高いVRではコントローラーが使用者の手の動きを細かく察知し、まるで自分の手を動かしているかのようにすら体感することができます。

他にも、コントローラーのモーターでその物が硬いのか柔らかいのかなどを感じ取れる高度なVRも登場してきています。

センサーにより顔の角度で視界が変わる

VRでは顔を向けた方向に視界がついてきて、その方向にあるものを見ることができます。

この仕組みはVRに赤外線などを使ったセンサーが内蔵されているため、使用者の目や顔の動きを察知し、その動きに合わせて映像を映し出しています。

また、VR映像では人間の視野角120°以上の広い範囲で撮影しているためより広い世界観を再現することができるのです。

空間音声により音がする方向を感じとれる

一部の高度なVRでは、より音がリアルに感じられるようになっています。
では、どのようにして音がする方向などをリアルに再現しているかというと、従来の「ステレオ音声方式」ではなく「空間音声」を取り入れているからなのです。

これまでの「ステレオ音声方式」では左右それぞれの耳で別々の音を聞かせて、音の方向を感じ取れる仕組みでした。
一方、「空間音声方式」では上下左右、前後の音声を複数のマイクを使って捉えることができるため、よりリアリティのある音を表現することができるのです。

コントローラーのセンサーにより移動できる

VRでは一般的にコントローラーを使って仮想世界の中を自由に移動できます。

これまでのゲーム機のようにスティックキーなどを使って操作をするケースがほとんどですが、より性能の高いVRでは部屋に置いたセンサーが使用者の動きを認識することができます。
その動きに連動して映像も変わるので、よりリアルな体験をすることができるようになっているのです。

VRで仕事する日も近い!?

先日、フェイスブック社がついに「Oculus Quest 2 」にVR空間でPCのようなディスプレイを表示して仕事をする「Infinite Office」という機能を搭載予定であることが明らかになりました。

「Oculus Quest 2 」ではこれまで有線ケーブルを使ってPCとリンクし、PCゲームなどをVRでより感度の高い体験をすることができました。サードパーティのアプリ(フェイスブック社以外のもの)を使って無線接続することは今までも可能でしたがフェイスブック社公式のものは今回が初となります。

新たな無線接続ではPCやスマートフォンと同じようにWi-Fiを使った通信でVRを体験することができるようになります。

フェイスブック社が発表した具体的な定義は以下のようになります。

FB社発表!無線接続の定義
  • Wi-Fiルーターから約6メートル以内の範囲で使える
  • ルーターを設置する場所はヘッドマウントディスプレイと直線上にあること
  • Wi-Fiの帯域は5GHz(acまたはax)であること
  • PCが有線LAN接続されていること

Wi-Fiのルーターや帯域についてはモデム・ルーターとは?それぞれの役割と違いについて徹底解説をご参考ください。

まとめ

今回はAR、VRについて解説しました。

これからAR・VR技術はますます私たちの生活に密接に関わってくることでしょう。
中でも、エンタメ事業ではさらなる需要が見込まれています。
さらに観光事業、不動産事業、医療現場など幅広いジャンルでの活用が期待されています。

ぜひ、今回紹介したARアプリやVRのヘッドマウントディスプレイで最先端な体験をしてみましょう。

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